初心者向け

【LED抵抗】発光ダイオード「電流制限抵抗」の選び方、付け方

スイッチONで「ランプ点灯!」

昔から、電子工作の入門としては、これ定番中の定番ですよね

それに最近は、光るものの多くは「電球ではなくLED」です

しかしながら、LEDを実際に点灯させるとなると

電球よりもはるかに「敷居の高い」のも事実です

プラス、マイナスをつなぐ向き(極性といいます)があることもそうですが、

何よりも、

LEDには抵抗器を付けなければなりません

(でないと、壊れてしまいます)

部品屋をのぞいても、麦球など電球と違い、「~V用のLED」などは、まず見かけないでしょう

あっても種類が少なく、何より割高です

(これは、抵抗器を内蔵した製品で、ごく少数販売されてはいますが・・・)

そうなのです!

「ピンク色(正確には赤紫?)の高輝度LEDを俺の模型で点灯させたいぜ!」

となっても、LEDに線だけ付けて、電源ON・・・とはいかんのですよ

LEDを点灯させる時、直列に「電流制限抵抗」なるものが必要です

この抵抗がないと、「LEDが電気の流れすぎ」で壊れてしまいます

このページでは、「LED抵抗の計算」と「実際の接続」について書きたいと思います

簡単に計算できます。ぜひ一読ください

(初心者向けですので、経験のある方には物足りない内容をご容赦ください)

LEDに必要な「電流制限抵抗」の求め方

電球と違って、LEDは電流を制限するための抵抗器(電流制限抵抗)が必要です

電流制限抵抗の値は、次の式を使って求めます

抵抗値= (電源電圧ーVF) ÷ 電流

電流:大体4mA~20mA位を目安にします

※普通の電子工作で使う「小型LED」ではこの位の電流です

※VFについては、下の項目に詳しく書いてあります

電流をたくさん流すと、明るくなりますが、流しすぎで壊れる可能性があります

照明などに使われるLEDは、もっとたくさん電流を流しますが

  • 大電流を流せるように、LED自体が作られていること、放熱板などで発熱を冷却している

といった「小型LEDとは別物」と考えたほうが良いでしょう

VFとは

VFはLEDに電流が流れた時(発光している時)、LED両端にかかるの電圧です

一般的なVF値(参考値)

VFはLEDの製品によって違いますが

VFの目安

赤色・橙色・黄緑色1.7V~2.1V
青緑色・青色・白色・電球色3.1V~3.3V
※参考値です。正確に知りたい方は、データシート等で確認願います

※通常使う電流値では、ほぼ一定と考えて良い

LEDはの半導体(ダイオード)です。電球と違い、電流が変化しても、両端の電圧(VF)は、あまり変化しません

VFと電流が、実用点灯時にどの位変化するか、手持ちのLED(緑色)で実測しました

  • VF1.81V ⇛ 0.32mA
  • VF1.91V ⇛ 3.1mA
  • VF2.38V ⇛ 27mA

※電流がおよそ100倍になっても、VFは0.57Vしか変化しません

LED抵抗の計算例

それでは、実際に計算してみましょう

抵抗値= (電源電圧ーVF) ÷ 電流

ー 計算例 ー

電源が12V VFが3.3V 電流10mA(0.01A)流すなら

(12-3.3) ÷ 0.01 = 8.7÷0.01 = 870Ω

電源が9V VFが1.8V 電流5mA(0.005A)流すなら

(9-1.8) ÷ 0.005 = 7.2÷0.005 =1440Ω(おおよそ1.5kΩ)

※電流は、抵抗値を変えることで任意に決められますね

VFを調べるには

VFは次の方法で調べられます。

  • LEDのデータシートで調べる(PDやIFといった、他の重要なパラメータもわかります)
  • 実測してみる(テスターやマルチメーターで計測する)

ネット通販の場合、商品ページからデータシートのリンクや、VFなど主要パラメータを記載しているショップもあります

LEDのデータシートで調べる

半導体には必ずデータシートが公開されています

多くの場合、PDFファイルがネット上で公開されています。「メーカー名・型番」がわかれば、ネット検索を使って、閲覧することができます。

「VF」値はデータシートの「電気的特性(Electrical Characteristics)」に記載されています(標準値 typ をVF値として採用すれば大丈夫です)

データシートには、半導体の電気的な制限や特性が記載されています

よく使う項目として

  • 最大電力(PD):(絶対に超えてはいけない電力損失)
  • 最大電流(IF):(流すことのできる最大電流)
  • 順方向電圧(VF):(LED両端の電圧、及び測定した電流値)
  • リードやピン配列:
  • 特性図:(電気特性のグラフなど)
  • 形状・寸法

などの重要な情報が記載されています

データシートには、なるべく目を通しておくことをお勧めします

VFを実測する

テスターやマルチメーターを使って実測します

LEDのVF計測例

写真のように、LEDチェッカーを使って実測すると簡単です

メリット

  • データシートなどが不明でもVF値を測定できる
  • 不良品チェックも同時に行える
  • 極性(+極・アノードと、ー極・カソード)も判別できる

デメリット

  • 手間がかかる
  • VF値と極性以外はわからない

電気は目に見えません

初心者の方でも、テスターを持っておくことを、ぜひお勧めします

電流の決め方

電子工作で普通に使うのであれば、5~10mA位で十分光ります

LEDに流す電流は、抵抗値を変えることで、ある程度任意に決められます

LEDの明るさは、電流で決まります。多く流すほど明るくなりますが、LEDの制限項目や、他の問題にふれる可能性が出てきます

また、LEDの製品差もかなりあります

LED 10mAでの明るさ比較

明るさが気にならないなら、電流は少なめにしておく方が安心です

とても便利! LEDチェッカー(LEDテスター)

LEDの点灯や、極性を手軽にチェックできます

何より素晴らしいのが、電池内蔵で、面倒くさい配線や抵抗の計算なしに、それぞれの電流で、点灯チェックできることです。

LEDの明るさは、同じ電流でも製品差がかなりあります。

実際に電流を変えながら、明るさをチェックできるのは、なかなかのスグレモノです

また、テスターをLEDリードに接続すれば、簡単に任意電流でのVFを測定できます

オススメです

LEDと電流制限抵抗の接続

LEDには電流の流れる向き(極性)があります

※逆向きでは点灯しません

逆向耐圧(かけても壊れない電圧)がLEDは5V位しかありません

(非常に弱い)

心配な場合は直列に「小信号用ダイオード」などを入れて保護します

LEDと抵抗の基本の接続

抵抗器は、必ずLEDと直列につなぎます

抵抗はLEDのプラス側(アノード側)でもマイナス側(カソード側)どちらでもOKです

LED抵抗の位置

2つ以上のLEDを一つの抵抗に接続

直列にLEDを複数接続することも可能です

2つ以上のLEDと抵抗のつなぎ方
LEDを直列に複数接続する場合

抵抗値= (電源電圧ーVF合計) ÷ 電流 (VF合計=VF1+VF2+・・・)

NGな接続

このような接続はNGです。

LEDと抵抗のNGな接続

LEDの破損や、明るさがバラつくなど、予期しない動作になります

電流を増やす時、注意したいポイント

もっと電流を増やして明るく点灯させたい場合や、高出力LEDを使いたい場合などに、注意すべきポイントをまとめました

12V以下、10mA程度での点灯なら、以下項目はざっと知っておくだけで、十分です

PD、IFをチェック

電流を増やす時、PDとIFの値は真っ先に注意しなければならない項目です

PDは「LEDが消費する電力」、IFは「最大電流」で、絶対に超えてはいけない値です

どちらの値も、データシートに必ず記載されています

ーPDの求め方ー

PDは、VF✕電流 で求められます。

VF3.3V、10mA流すと 3.3✕10=33mW

VF2.0V、20mAなら  2.0✕20=44mW です

筆者の手持ち部品や、ネットを調べてみました

砲弾型リード品の場合、PD50mW以上あるようですね

(ちなみに、部品箱のLEDは75mW~100mWでした)

チップLEDでは、もっと小さなPDのものもあります。

心配なら、データシートを参照されることをお勧めします

LEDの放熱

照明並みに明るく光る、高出力(パワー)LEDでは、放熱板(ヒートシンク)が必要なものがあります

アルミ基板付きパワーLED

この記事は初心者向けですので、詳しくは扱いませんが

出力(電流)が大きくなれば、発熱対策や通風の確保など、注意を払う必要があります

抵抗の定格電力

「電源12V、電流10mA」位での使用なら、ほとんど問題ないのですが

高出力(パワー)LEDなど電流をたくさん流す場合や、電源電圧が高くなると、抵抗器で消費する「電力」にも注意する必要があります

普通にショップで抵抗器を購入すると、定格1/4W(250mW)の物が多いと思います

抵抗での消費電力はすべて熱になり、電力が増えれば抵抗が発熱します。

定格電力をオーバーして使用すると、最悪発煙や発火の危険があります

定格電力に余裕を持って、使用されることをお勧めします

抵抗の定格電力は、割と見落としがちで、筆者も初心者の頃よく失敗しました

スイッチオンした瞬間に、抵抗が煙を吹いたりすると、マジ心臓に悪いです。

LEDの抵抗で消費される電力

(電源電圧ーVF) ✕ 電流 または (電源電圧ーVF)2 ÷ 抵抗値

電源5V VF3.3V 5mAなら(このときの抵抗は340Ω)

(5-3.3)✕ 0.005 = 8.5mW

電源12V VF2.0V 1KΩなら(このときの電流は10mA)

(12-2.0)2 ÷1000 = 100÷1000= 100mW

※電源電圧や、電流が増えるほど、抵抗での消費電力が増えます

※抵抗の電圧が100V、10mAだと 1W(1000mW)です!

(電源12V、電流10mA位までは、1/4W型の抵抗器でも、定格電力の半分以下ですね)

複数のLEDを同時点灯する時

LEDを直列につなげば、抵抗器にかかる電力を減らせます

定格電力が大きな抵抗器は、定格内使用でも、発熱がそれなりにあります

発熱を想定した取付けが必要で、形状も大きく、リードも太くなります。

いざ使う段階になってから、リードが太すぎて、「基板の穴に入らん!」なんて事態は、本当に最悪です(残念ながら・・・経験があります)

まとめ

  • 抵抗値= (電源電圧ーVF) ÷ 電流 で求められます
  • 抵抗器は必ずLEDと直列に接続しましょう
  • VF値はデータシートなどに記載されています
  • 一般的なVFは、赤~黄緑は2.0V前後、青~白色は3.3V前後です
  • LEDチェッカーやテスターなどあれば、便利です
  • 高出力LEDなどは、放熱などの知識も必要です