スイッチONで「ランプ点灯!」
昔から、電子工作の入門としては、これ定番中の定番ですよね
それに最近は、光るものの多くは「電球ではなくLED」です
しかしながら、LEDを実際に点灯させるとなると
電球よりもはるかに「敷居の高い」のも事実です
プラス、マイナスをつなぐ向き(極性といいます)があることもそうですが、
何よりも、
LEDには抵抗器を付けなければなりません
(でないと、壊れてしまいます)
部品屋をのぞいても、麦球など電球と違い、「~V用のLED」などは、まず見かけないでしょう
あっても種類が少なく、何より割高です
(これは、抵抗器を内蔵した製品で、ごく少数販売されてはいますが・・・)
そうなのです!
「ピンク色(正確には赤紫?)の高輝度LEDを俺の模型で点灯させたいぜ!」
となっても、LEDに線だけ付けて、電源ON・・・とはいかんのですよ
LEDを点灯させる時、直列に「電流制限抵抗」なるものが必要です
この抵抗がないと、「LEDが電気の流れすぎ」で壊れてしまいます
このページでは、「LED抵抗の計算」と「実際の接続」について書きたいと思います
簡単に計算できます。ぜひ一読ください
(初心者向けですので、経験のある方には物足りない内容をご容赦ください)
LEDに必要な「電流制限抵抗」の求め方
電球と違って、LEDは電流を制限するための抵抗器(電流制限抵抗)が必要です
電流制限抵抗の値は、次の式を使って求めます
VFとは
VFはLEDに電流が流れた時(発光している時)、LED両端にかかるの電圧です
VFはLEDの製品によって違いますが
VFの目安
赤色・橙色・黄緑色 | 1.7V~2.1V |
青緑色・青色・白色・電球色 | 3.1V~3.3V |
※通常使う電流値では、ほぼ一定と考えて良い
LEDはの半導体(ダイオード)です。電球と違い、電流が変化しても、両端の電圧(VF)は、あまり変化しません
VFと電流が、実用点灯時にどの位変化するか、手持ちのLED(緑色)で実測しました
- VF1.81V ⇛ 0.32mA
- VF1.91V ⇛ 3.1mA
- VF2.38V ⇛ 27mA
※電流がおよそ100倍になっても、VFは0.57Vしか変化しません
LED抵抗の計算例
それでは、実際に計算してみましょう
電源が12V VFが3.3V 電流10mA(0.01A)流すなら
(12-3.3) ÷ 0.01 = 8.7÷0.01 = 870Ω
電源が9V VFが1.8V 電流5mA(0.005A)流すなら
(9-1.8) ÷ 0.005 = 7.2÷0.005 =1440Ω(おおよそ1.5kΩ)
※電流は、抵抗値を変えることで任意に決められますね
VFを調べるには
VFは次の方法で調べられます。
- LEDのデータシートで調べる(PDやIFといった、他の重要なパラメータもわかります)
- 実測してみる(テスターやマルチメーターで計測する)
ネット通販の場合、商品ページからデータシートのリンクや、VFなど主要パラメータを記載しているショップもあります
LEDのデータシートで調べる
半導体には必ずデータシートが公開されています
多くの場合、PDFファイルがネット上で公開されています。「メーカー名・型番」がわかれば、ネット検索を使って、閲覧することができます。
「VF」値はデータシートの「電気的特性(Electrical Characteristics)」に記載されています(標準値 typ をVF値として採用すれば大丈夫です)
データシートには、半導体の電気的な制限や特性が記載されています
よく使う項目として
- 最大電力(PD):(絶対に超えてはいけない電力損失)
- 最大電流(IF):(流すことのできる最大電流)
- 順方向電圧(VF):(LED両端の電圧、及び測定した電流値)
- リードやピン配列:
- 特性図:(電気特性のグラフなど)
- 形状・寸法
などの重要な情報が記載されています
VFを実測する
テスターやマルチメーターを使って実測します
写真のように、LEDチェッカーを使って実測すると簡単です
メリット
- データシートなどが不明でもVF値を測定できる
- 不良品チェックも同時に行える
- 極性(+極・アノードと、ー極・カソード)も判別できる
デメリット
- 手間がかかる
- VF値と極性以外はわからない
電流の決め方
LEDに流す電流は、抵抗値を変えることで、ある程度任意に決められます
LEDの明るさは、電流で決まります。多く流すほど明るくなりますが、LEDの制限項目や、他の問題にふれる可能性が出てきます
また、LEDの製品差もかなりあります
明るさが気にならないなら、電流は少なめにしておく方が安心です
とても便利! LEDチェッカー(LEDテスター)
LEDの点灯や、極性を手軽にチェックできます
何より素晴らしいのが、電池内蔵で、面倒くさい配線や抵抗の計算なしに、それぞれの電流で、点灯チェックできることです。
LEDの明るさは、同じ電流でも製品差がかなりあります。
実際に電流を変えながら、明るさをチェックできるのは、なかなかのスグレモノです
また、テスターをLEDリードに接続すれば、簡単に任意電流でのVFを測定できます
オススメです
LEDと電流制限抵抗の接続
LEDと抵抗の基本の接続
抵抗はLEDのプラス側(アノード側)でもマイナス側(カソード側)どちらでもOKです
2つ以上のLEDを一つの抵抗に接続
直列にLEDを複数接続することも可能です
抵抗値= (電源電圧ーVF合計) ÷ 電流 (VF合計=VF1+VF2+・・・)
NGな接続
このような接続はNGです。
電流を増やす時、注意したいポイント
もっと電流を増やして明るく点灯させたい場合や、高出力LEDを使いたい場合などに、注意すべきポイントをまとめました
PD、IFをチェック
電流を増やす時、PDとIFの値は真っ先に注意しなければならない項目です
PDは「LEDが消費する電力」、IFは「最大電流」で、絶対に超えてはいけない値です
どちらの値も、データシートに必ず記載されています
PDは、VF✕電流 で求められます。
VF3.3V、10mA流すと 3.3✕10=33mW
VF2.0V、20mAなら 2.0✕20=44mW です
筆者の手持ち部品や、ネットを調べてみました
砲弾型リード品の場合、PD50mW以上あるようですね
(ちなみに、部品箱のLEDは75mW~100mWでした)
チップLEDでは、もっと小さなPDのものもあります。
心配なら、データシートを参照されることをお勧めします
LEDの放熱
照明並みに明るく光る、高出力(パワー)LEDでは、放熱板(ヒートシンク)が必要なものがあります
この記事は初心者向けですので、詳しくは扱いませんが
出力(電流)が大きくなれば、発熱対策や通風の確保など、注意を払う必要があります
抵抗の定格電力
「電源12V、電流10mA」位での使用なら、ほとんど問題ないのですが
高出力(パワー)LEDなど電流をたくさん流す場合や、電源電圧が高くなると、抵抗器で消費する「電力」にも注意する必要があります
普通にショップで抵抗器を購入すると、定格1/4W(250mW)の物が多いと思います
抵抗での消費電力はすべて熱になり、電力が増えれば抵抗が発熱します。
抵抗の定格電力は、割と見落としがちで、筆者も初心者の頃よく失敗しました
スイッチオンした瞬間に、抵抗が煙を吹いたりすると、マジ心臓に悪いです。
(電源電圧ーVF) ✕ 電流 または (電源電圧ーVF)2 ÷ 抵抗値
電源5V VF3.3V 5mAなら(このときの抵抗は340Ω)
(5-3.3)✕ 0.005 = 8.5mW
電源12V VF2.0V 1KΩなら(このときの電流は10mA)
(12-2.0)2 ÷1000 = 100÷1000= 100mW
※電源電圧や、電流が増えるほど、抵抗での消費電力が増えます
※抵抗の電圧が100V、10mAだと 1W(1000mW)です!
(電源12V、電流10mA位までは、1/4W型の抵抗器でも、定格電力の半分以下ですね)
定格電力が大きな抵抗器は、定格内使用でも、発熱がそれなりにあります
発熱を想定した取付けが必要で、形状も大きく、リードも太くなります。
いざ使う段階になってから、リードが太すぎて、「基板の穴に入らん!」なんて事態は、本当に最悪です(残念ながら・・・経験があります)
まとめ
- 抵抗値= (電源電圧ーVF) ÷ 電流 で求められます
- 抵抗器は必ずLEDと直列に接続しましょう
- VF値はデータシートなどに記載されています
- 一般的なVFは、赤~黄緑は2.0V前後、青~白色は3.3V前後です
- LEDチェッカーやテスターなどあれば、便利です
- 高出力LEDなどは、放熱などの知識も必要です