コンデンサーには、同じ種類、品種でも容量がいろいろあります
多くの場合、本体に印字されているのですが・・・数字や記号の場合も少なくありません
そこで、今回はコンデンサーの容量の読み方を書きたいと思います
コンデンサーでの表記
いろいろなコンデンサーの表記です
静電容量
コンデンサーの容量は3桁の数字、誤差は英字で本体に印字されています
※電解コンデンサーなどは「直接の値」が書かれている場合が多いです
容量表示の読み方
例:473 → 47✕103=47000pF=0.47pF
※小容量では2桁や1桁の表記があります、その場合はそのまま読みます
例:10 → 10pF
100pFは「100」と表記される場合と「101」と表記される場合があります
第一数字 | 第2数字 | 第3数字 | pF | nF | μF | 早見表 |
---|---|---|---|---|---|---|
◎ | なし | なし | 1 | 0.001 | ◎pF | |
◎ | ▲ | 0 | 10 | 0.01 | ◎▲pF | |
◎ | ▲ | 1 | 100 | 0.1 | ◎▲0pF | |
◎ | ▲ | 2 | 1000 | 1 | 0.001 | ◎▲00pF |
◎ | ▲ | 3 | 10000 | 10 | 0.01 | 0.0◎▲μF |
◎ | ▲ | 4 | 100000 | 100 | 0.1 | 0.◎▲μF |
◎ | ▲ | 5 | 1000000 | 1000 | 1 | ◎.▲μF |
◎ | ▲ | 6 | 10000000 | 10000 | 10 | ◎▲μF |
◎ | ▲ | 7 | 100000000 | 100000 | 100 | ◎▲0μF |
◎ | ▲ | 8 | 1000000000 | 1000000 | 1000 | ◎▲00μF |
◎ | ▲ | 9 | 10000000000 | 10000000 | 10000 | ◎▲000μF |
「nF」という単位
なぜかあまり使われません(近年では回路図等で見かけるようになりましたが・・・)
製作記事などでも「1nF」と書かれずに「1000pF」の場合が多いです
部品なども普通は「pF」と「μF」単位表記で売られています
筆者は、慣習のようなものだと割り切ってしまっていますが、何か不思議ですよね
自分もそうでしたが、初心者の頃は、些細なことを(1nF・・・ナノって???など)を調べているうちに、熱が冷めてしまうものです
(余談ですが、昔の記事で「1000pF」が「0.001μF」と書かれていて、0.01μFの間違えなのかと頭を捻った記憶があります・・・)
※そんなこともあるので、表には「nF」単位も入れました
容量誤差
コンデンサーの容量誤差
英字 | 誤差 |
---|---|
B | ±0.1% |
C | ±0.25% |
D | ±0.5% |
F | ±1% |
G | ±2% |
J | ±5% |
K | ±10% |
M | ±20% |
英文字1字で書かれています
コンデンサー容量の最大誤差です
プラスマイナス%で表されます
※電解コンデンサーは、普通に容量誤差が±20%位あります
耐圧表示
コンデンサーの耐圧も「直接書かれている」場合と、「2文字」あるいは「1文字」の記号で書かれている場合があります
「数字+英文字」で書かれている場合
1文字目は乗数(10n)です、2文字目は次の表の値を示します
A | B | C | D | E | F | G | H | J | K | P | V | W |
1.0 | 1.25 | 1.6 | 2 | 2.5 | 3.15 | 4.0 | 5.0 | 6.3 | 8.0 | 1.8 | 3.5 | 4.5 |
例:「2E」 → 102✕2.5=100✕2.5= 250V
例:「0J」 → 100✕6.3=1✕6.3= 6.3V
※数字が「1」の場合、省略される場合があります
例:「H」→「1H」と同じ 101✕5.0=50V
「英文字1字」で書かれている場合
チップ部品など、スペースがない場合などによく使われます
※1文字の場合、メーカーによっては異なった表記を取る場合があります
A | C | D | E | G | H | J | V | e |
10 | 16 | 20 | 25 | 4 | 50 | 6.3 | 35 | 2.5 |
上の写真のタンタルコンデンサーは「227C」とかかれていますので
220μF16Vということになります
温度表示
電解コンデンサーの場合には、温度(85℃や105℃など)が印字されています
電解コンデンサーは、他のコンデンサーに比べて「温度による寿命変化が著しい」ため、部品の配置などに注意が必要です
一般的な電解コンデンサーは、電解液がケース内に封入されています
電解液はケースに密封されていても、徐々に蒸発(ドライアップ)していき、コンデンサーの性能が低下していきます(俗に言う容量ヌケ)
寿命の原因の多くが「ドライアップ」で、温度に密接に関係します
- 電解コンデンサーの寿命は85℃・2000時間が一般的
- 105℃・2000時間の製品もあります
- オーディオ向け製品では85℃・1000時間といった場合もあります
一般的な使用条件での寿命は、およそ10年前後です
これは、半導体や抵抗器などと比べて、かなり短い数字です
寿命と温度の関係は「アレニウスの法則」にほぼ従います。具体的には
- 10℃温度が上がると、寿命はおよそ半分になります
- 逆に、10℃温度が下がれば、寿命はおよそ2倍になります
リレーや電球など、寿命の短い部品がだんだん使われなくなった今日、
電子回路の寿命=電解コンデンサーの寿命
と言えるのかもしれません・・・
電解コンデンサーは、「涼しく」使いましょう
値のラインナップ(E系列)
コンデンサーや抵抗の値は「1、2,5」といったような切の良い数字ではなく、「1,2.2、4.7」といった何とも半端な値が多いと感じませんか?
実は、コンデンサーや抵抗の値は「E系列」という順序に基づいて、ラインナップされています
これは、コンデンサーや抵抗の値が「10の乗数倍」になっているためで、指数で均等に分割すると、一見このような半端な値になってしまいます
E系列の値表(よく使われるもの)
E3 | E6 | E12 | E24 |
---|---|---|---|
1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
1.1 | |||
1.2 | 1.2 | ||
1.3 | |||
1.5 | 1.5 | 1.5 | |
1.6 | |||
1.8 | 1.8 | ||
2.0 | |||
2.2 | 2.2 | 2.2 | 2.2 |
2.4 | |||
2.7 | 2.7 | ||
3.0 | |||
3.3 | 3.3 | 3.3 | |
3.6 | |||
3.9 | 3.9 | ||
4.3 | |||
4.7 | 4.7 | 4.7 | 4.7 |
5.1 | |||
5.6 | 5.6 | ||
6.2 | |||
6.8 | 6.8 | 6.8 | |
7.5 | |||
8.2 | 8.2 | ||
9.1 |
※他にもE48系列、E96系列、E192系列などがありますが、部品の値としてよく使われるものは、上記表のものが多いです
まとめ
コンデンサー本体には、コンデンサーの情報が印字されています
- 静電容量
- 容量誤差
- 耐圧
- 温度表記(主に電解コンデンサー)
- 極性がある場合は、マイナス(場合によってはプラス)極側表示
コンデンサーや抵抗の値は「E系列」という順序に基づいています
コンデンサーは抵抗器ほど、値が細くラインナップされない場合が多いので
※回路設計で値を決める時
- コンデンサーは大まかな値(E6系列が多いため)
- 抵抗値で詰める(E24系列などが使えるため)
といったアプローチが向いています