ハンダ付けは、電子工作では避けて通れない一つの登竜門かもしれません
今では、ブレッドボードなど、はんだ付け不要で配線できる便利品もありますが
ワンステップ上を思うと、マスター必須の技術が「はんだ付け」です
- 初めてだけど、どんなコテを選んだら良い?
- ハンダ付けがトラウマだけど、うまくなりたい
- 作りたい電子工作の記事やキットがあるけど、ハンダ付けうまくできるかな?
- 使い勝手の良いハンダゴテを探している
- チップ部品のはんだ付けにチャレンジしたい!
そんな方にぜひオススメしたい、ハンダゴテがこちら
goot(グット) PX335です
ハンダがきれいに「すうっと」流れる!「ハンダ付け楽しい!」と思えるスグレモノ
難しいからこそ、良い道具(使いやすい道具)を選ぶことが大切ですね
前身モデル(PX-238)を長年使ってきましたが
今回、改めてPX-335を自腹購入。レビューさせていただきます
私も昔は、普通の安いニクロムハンダゴテを使っていました
なんせ、お金が無かったので工具屋の軒先に「ぶら下がってる」安いハンダゴテ専門でした
そう、持ちて(柄の部分)が木材で出来てるヤツです、ときには、学校の技術科で作ったハンダゴテとか、もう使えればいいの世界でした
そんな私が、当時奮発して買った一本が「これ」です
(下のコテです、前身モデルPX-238ですが)
それから、ヘビーに使ってきたのですが(それまでのニクロムタイプは数年で壊れた)
もう、30年位つかってます(購入は1990年代初頭)部品交換もしていません
「当たり品」だったのかもしれませんが、今でも現役で使ってます
ハンダ付けは難しい?
難しくはありませんが、コツをつかむまでハードルが高いのは確かです
まさに「コツ、慣れ、経験」が必要な技術でしょう
実際、手付ハンダの方法自体は、真空管全盛の時代からほとんど変わっていません
良い(使いやすい)道具は、そんな「コツ」がいる部分をサポートしてくれます
実際に手で付けました(下手だけど)、電子工作なら実用レベル?
練習すれば、標準のコテ先で、このくらいの部品(0.65mmのIC)もOKです
一番経験が必要な「温度」を自動で管理してくれる
たったこれだけのことですが、ハンダ付けの難易度が大幅に下がります
ハンダを付ける時に、最適な温度を保つのは最も経験がいる作業です、これは具体的に説明しにくい、体で覚える感覚です
慣れた人は、付けるもの、大きさなどによって「コテのワット数」を変えたり、スポンジなどでコテ先温度をうまく調節しています
そんな作業を自動でやってくれるのが、PXシリーズというわけです
ハンダゴテの温度が・・・
- 低すぎると、ハンダがうまく溶けない、流れない、コテをあてる時間が長いと、部品が熱で破損する
- 高すぎると、ハンダのフラックス(溶剤)がすぐ蒸発して飛び散る、焦げ付く、ハンダが固くなる
などの理由で失敗しやすくなります
オススメの理由
実際に、350℃タイプ(PX-335)と380℃タイプ(PX-238)を使っていますが、ユーザーとして「オススメ」したい理由をまとめました
温度を自動で調整
温度を安定に保ってくれるだけで、ハンダ付けの難易度が下がります
実際使ってみると、「ハンダ付けがうまくなった」と体感できます
温度固定タイプは、目的から3種類の温度を選ぶだけ
- PX-335:350℃ プリント基板中心、チップIC、チップ部品向き
- PX-338:380℃ プリント基板、ターミナル類向き
- PX-342:420℃ ターミナル、ジャック類、真空管のソケットやラグ板向き
初心者の方には、普通の電子工作(プリント基板中心)なら
PX-335(350℃)コテをオススメします(ハンダは鉛入りが使いやすいです)
私は380℃タイプ(PX-238古いシリーズ)も使っていますが、比べてみますと
350℃タイプの方が、ハンダの流れが穏やか、ゆっくり作業できる印象です
無論、ジャックや端子類など大きめの部品も、問題なくはんだ付けできます
温度設定を間違えたり、迷ったりしない
温度調節機能付きのハンダゴテは、設定温度を変えられるタイプもあります
しかし、初心者の方、苦手な方には「温度固定タイプ」がオススメです
理由は、
- 一定の温度で、ハンダ付けのテンポを覚えるほうが、上達しやすい
- はじめのうちは、何度に設定するかわからない
- 作業に集中できる
- 意図しない設定温度になっていたなど、ケアレスミスを防げる
- 温度可変型より安価
一本で電子工作のハンダ付けをカバーできる
ニクロムタイプは、チップ部品などには20W位のコテ、コネクターや大型部品(電源トランスなど)では40~60W位(場合によってはそれ以上)を用意して使い分けることが普通です
PXシリーズは、最大85Wとなっていて、電子工作の一般的な部品、半導体、コネクタ、ターミナル類まで一本でOKです
交換コテ先も充実
別売の純正部品として、コテ先のラインナップが豊富です
欠点(デメリット)があるとするなら
ニクロムタイプより高価
コントロール回路が入ったりしていますから、お値段的には少し高価です
私個人の感想ですが、差額以上に価値ある商品だと思っています
ハンダ付けに慣れた方には、温度可変型が便利でしょう
自分も、ピッチの狭いフラットIC などでは「もう少し温度を下げたい」と思う場面もあります、しかしながら、ちょっとスポンジで調整すれば、まあ、できなくもないので、温度可変タイプの購入には至っていません
経験上、温度固定タイプでも、電子工作で必要なハンダ付けは全部できるわけです
ニクロムタイプより取手が大柄
これは、使い勝手、好みの問題かと思います
私の場合ニクロムタイプのコテでは、うっかり金属部分の根本を触って、火傷はしないまでもビックリすることが多々ありました
取手の部分が大きいと、そのような「うっかり火傷未遂」を防いでくれます
上手なハンダ付けは、段取り8分と良い道具
はんだ付けを上手にするためには、実際付ける前の準備(段取り)が重要です
いい仕事には、「事前の準備、作業イメージ、使いやすい道具」が大切ですね
ハンダ付け「ルーティン」を文字で書くとこんな感じです
- ハンダ付けは「付ける」のではなく「流す」作業をイメージする
- 付けるものを、しっかり固定する
- ハンダゴテをあてる前に、スポンジで清掃すべし(温度とコテ先をチェック)
- ハンダゴテを付けたい部分に当てて、温める(コテの面積を上手に使う)
- ハンダゴテを当てたまま、糸ハンダを溶かす
- ハンダゴテを当てたまま、糸ハンダを離し、ハンダをよく流す
- ハンダゴテを離す
- 終わったら、コテ先をスポンジで清掃する
- 失敗した時のリカバリー策(ハンダ吸収線など)を用意しておく
実際の時間を考えると、ハンダを付けている時間より、準備の方が長いですね
PXシリーズなら「固定作業」や「コテ先掃除」の後でも、「温度」を気にせずテンポよく作業を進められます
「ハンダ付け最低」と怒っていた娘が「ハンダ付け面白い」といってオブジェを作った話
初心者かつ苦手だった方の「エピソード」が身近にありましたので、お話いたします
「なんで、ハンダ付けなんて授業であるんだろう」
ある日のことです、娘がそんなことを言いにやってきました
よくよく聞いてみると、どうも技術科の実習課題がうまくできず、宿題として持ち帰ってきたようで
その基板を見てみると、イモハンダ、テンプラハンダ、お隣のパターンブリッジと惨たるハンダ付けのオンパレード、それに3割も付けていない
よく見れば、ダイオードも反対向きに着いてる
(ダイオードは、あまりに可愛そうなので、言わずにこっそり直しました)
本人曰く、「ハンダ付けなんて、女は一生使わないと思う」
「ハンダ付け、ホント最低!」
と、まあ、でるわでるわ・・・気持ちはわかるけどね
そんな怒り沸騰のガス圧が抜けると、本人も冷静になったようで
「明日までに、完成させたいのだけれど、どうしたらいいかな」と・・・
私がやってしまえば、ほんの一時間かからずに終わりそうでしたが
本人の口から
「お父さん、ハンダ付けうまいんでしょう?どうやったらうまくできるかな」
と前向きな言葉を聞き
「じゃあ、お父さんの道具で再チャレンジしてみる?」
と、ハンダ付けリベンジマッチになりました
その時の道具というのが、まさに「この温度調整ハンダゴテ」です
(といいますか、ニクロムのハンダゴテは持っていなかった)
まずは、余っていた基板に廃部品をハンダ付けする「練習」から始めました
上記の「ハンダ付けルーティン」を何度か繰り返し、練習していると
「なんか大丈夫そう」というので、いざ宿題の基板にハンダ付け開始
(練習中に失敗したハンダは吸っておきました)
そして、しばらくすると娘から、意外な言葉が帰ってきたのです
「ねえ、このハンダゴテ、学校のヤツとぜんぜん違う」
私が「そう?、学校から持ってきたコテも割りといいみたいだけど」
というと「でも、学校のはこんなにきれいにハンダが流れないよ」
「すごく、きれいにできる!なんかハンダ付けって楽しい」
これは、ちょっと驚きました
今しがたまで「ハンダ付け最低だ」と言っていた娘の口から「ハンダ付けって楽しい」なんて言葉を聞くとは、思っても見ませんでした
正直、ビックリです
その後、無事宿題も片付き、一段落したのですが
「ねえ、お父さん」
「ん?」
「何か、ハンダで付けるものない」と・・・ヲイ
どうも、ハンダ付けに自信がついたようで、何か作りたいというわけです
部品箱や棚を引っ掻き回して、もう使わない電子部品やスイッチ、コネクタ類をだしてあげると、それから、ひとしきりの間、ハンダ付けしていました
そんな娘の創作活動の合間に、一部始終をうちの奥に話すと、こっそり後ろから娘の作業風景を眺めて笑っていました
そのあと、なんだかわからないオブジェを抱えて、満面の笑みで自分の部屋へと去っていきました
まとめ
ハンダ付け・・・私自身も最初は苦労した覚えがあります
そんな「初心者の方」、「苦手意識のある方」
温度固定タイプの「PXシリーズ」は、本当にオススメです
是非一度お使いいただきたい!