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テスターの使い方入門

突然ですが、みなさん、テスターって使ってます?

電気がよくわからない原因の一つが「目に見えない」ってことなんですよね。

電気のことを値として示してくれるもの(計測器)は、電子工作をする上で「すごく重要」です

デジタルとアナログテスター

その一つが「テスター」ですね。電圧や抵抗値などの値を測る計測器です。

とはいっても・・・

「なんか、いろんな記号が書いてあって、難しそう」とか、「使い方がよくわからない」って方もいらっしゃるのでは

実は、テスターでよく使う部分って、そう多くないんです

(中には「ガチ」でマルチメーターの全レンジ使い倒してます!って方もいるかも知れませんが・・・)

簡単なので、この機会に覚えてしまいましょう

テスターの種類

アナログテスターと、デジタルテスター

テスターには、昔ながら針メータの「アナログテスター」と、液晶などデジタル表示の「デジタルテスター」があります

アナログテスター

針式メーターのテスターです

いかにも「レトロな測定器」といった外観で、モチベーションアップには最高なのですが・・・

  • 近年、製造メーカーや品種が少ない
  • 抵抗測定以外は、電源不要で動作する
  • メーターの読みに「慣れ」が必要
  • 測定レンジを細かく選ぶ必要がある
  • 抵抗測定では、レンジごとに0Ω校正をする必要がある
  • 安価なものは入力抵抗が低く、測定回路に影響を与える場合がある

デジタルテスター

測定値をデジタル表示するテスターです

  • 品種が多く実質「現在の主流」
  • 測定値を直読できる
  • 多くの機種で、レンジを自動切換する「オートレンジ」が搭載されている
  • 抵抗測定時、0Ω校正が不要
  • 入力抵抗は、非常に高い
  • 測定には電源(電池や外部電源)が必ず必要

マルチメーターとは

「マルチメーター」はテスターの上位互換です

電流や電圧、抵抗値だけでなく、他にも多機能な測定ができます

  • 静電容量
  • ダイオード導通(VF測定)
  • 交流の周波数
  • デューティ比
  • トランジスターのhFE
  • 測定中の最大値、最小値、平均値をホールド
  • 温度(専用プローブが別売されている場合が多い)

などが測定できます(機種によって違います)

初心者の方で一台目は、

オートレンジタイプ「デジタルテスター」あるいは

「デジタルマルチメーター」をお勧めします

テスターの使い方

テスターの基本的な使い方です

  • 直流電圧
  • 交流電圧
  • 抵抗値
  • 直流電流

以下に、それぞれの測定方法、注意点などを書きました

直流電圧を測る

おそらく、一番使う測定だと思います

直流電圧レンジに切換える

直流電圧レンジ
  • 直流電圧レンジは「DCV」または「Vとー」が書かれています(「ー」は直流を表す)
  • オートレンジの場合は「直流電圧レンジ」にするだけでOKです
  • オートレンジでない場合、予想される値より「大きな測定レンジ」にしておきます
  • レンジの数字は測定できる最大値です(電源12Vでしたので、30Vにセット)

テスター棒(プローブ)を測定箇所にセットする

必ず「電源を落として」から、プローブをセットしましょう

ショートさせないように十分に注意しましょう

電圧の測り方(並列につなぐ)

電圧を測定したい回路(部品など)と、テスターが並列に入るようにします

写真の例では、抵抗両端の電圧を測定する場合です

回路的に「抵抗にテスター(プローブ)」が並列に入るよう

プローブの「赤」を抵抗のプラス側

プローブの「黒」を抵抗のマイナス側

につなぎます

アナログ(針)テスターでは、逆に針が振れると「メーター故障」の原因になります

デジタルテスターでは、逆につないでも「マイナス表示」になるだけです

デジタルテスターのマイナス表示

測定値を読む

テスターとの接続が終わったら、電源を入れます

テスターには、測定値がすぐ表示されます

テスターで電圧を読む

オートレンジの場合は、自動で適切なレンジ(表示)を選んでくれます

オートレンジのテスターでは、そのまま読めばOKです

オートレンジではない場合、適切なレンジに切り替えて目盛りを読みます

レンジを細かく切換える

写真の例では、30Vレンジで10V付近を指していました

ひとつ下のレンジ(上限12V)でも大丈夫と判断し、12Vレンジに切換えます

※レンジ切換えで「針が振り切って」しまわないよう注意が必要です

12Vレンジの方が目盛りも細かくなり、より詳細な値まで読むことができます

交流電圧を測る

コンセントの電圧を測る場合などに使います

交流電圧レンジに切換える

交流電圧レンジ
  • 交流電圧レンジは「ACV」または「Vと~」が書かれています(「~」は交流を表す)
  • オートレンジの場合は「交流電圧レンジ」にするだけでOKです
  • オートレンジでない場合は、大きな測定レンジにしておきます

テスター棒(プローブ)をセットする

直流電圧と同様に、電圧を測りたい場所に並列につなぎます

交流の場合、プローブの「赤、黒」は区別ありません

測定値を読む

表示された、測定値を読みます

交流電圧は一般的に実効値で示されます

(実効値とは直流電圧と同じ仕事をする交流電圧の表し方です)

※注意すべきは、交流のピーク値は実効値より高いことです

実効値100Vの交流(サイン波)のピーク値は、141V位あります

抵抗値を測る

抵抗の値を測定する場合に使います

購入した抵抗のテストや、カラーコードが読みにくい抵抗など、よく使う測定です

抵抗測定レンジに切換える

抵抗レンジ

抵抗測定レンジは、「Ω」マークが書かれています

テスター棒(プローブ)をショートさせて、0Ωをチェックする

デジタルテスターの場合

プローブをショートさせて、0Ωが表示されることを確認します

※0Ωにならない場合

  • 電池が消耗している
  • 接触が悪い(サビやしっかり接続していない)
  • どうしても0Ωにならない場合、故障・・・

オートレンジの場合、測定直前に一度チェックすれば大丈夫です

アナログテスターの場合

アナログテスターの0ΩADJ

測定レンジを切換えます、レンジはメーター値の倍率になっています

(メーター値 X レンジ倍率 =抵抗値)

プローブをショートさせ、アジャストツマミ(ADJ)を回して0Ωに合わせます

※測定レンジを切換えるたび、0Ωの校正が必要です

テスター棒(プローブ)をセットする

抵抗測定したい場所に、プローブをセットします

抵抗測定時は、外部から電圧がかからないように注意します

(テスター故障の原因となります)

内部の電池(電源)を使って、電流を流し抵抗を測定しています

アナログテスターではプローブの

  • 赤=マイナス
  • 黒=プラス

が出力されます(色と逆の極性になっています)

デジタルテスターでは、機種によって異なります

筆者の機種では、赤=プラス、黒=マイナスでした

(取説を参照するか、別のテスターで測る)

測定値を読む

表示された、測定値を読みます

測定値(Ω)

アナログテスターの場合は、抵抗レンジを切換えると、再度0Ω調整が必要になります

※見当がついている場合は、適切な抵抗レンジを選びましょう

抵抗器には、値がカラーコードで示されていますが、わかりにくい時も少なくありません

部品チェックも兼ねて、測ってしまうのも一つの手です

抵抗の「カラーコード」を読む【4本・5本の早見表あり】 電子工作に欠かせないパーツ「抵抗器」 多くの場合、値が色帯(カラーコード)で示されいます この記事は、抵抗器の・・・ ...

直流電流を測る

電流測定はテスターや、回路部品を一番破損しやすい測定です

十分に確認してから、測定を開始しましょう

また、電流測定が終わったら、テスター棒のプラグは抜くか、電圧測定位置に戻しましょう(レンジスイッチはOFFにしましょう)

直流電流レンジに切換える

電流測定レンジ
  • 直流電流レンジは「DCA(DCmA)」または「A(mA)とー」が書かれています
  • 電流測定用のジャックがある場合には、そちらにつなぎます
  • オートレンジでないテスターは、大きめのレンジにセットします

※左のデジタルテスターは、交流電流も同じレンジで計測でき、A(mA)の上に「ーと~」の両方のマークが書かれています

電流測定専用のジャックがある場合、プローブを差し換えます

写真の例では、プラス側(赤)のプローブを、左のジャックにつなぎます

※測定値に合ったジャックを選びます、間違えると内部ヒューズが飛んだり、誤差が大きくなります

テスター棒(プローブ)をセットする

電流測定(直列にプローブセット)

電流測定では、必ず回路に直列になるようにつなぎます

※直列につなぐには、回路の一部をカットしなければなりません

表示された、測定値を読みます

電源を入れて、測定値を読みます

測定値(A)

レンジ切換えタイプは、適宜レンジを切換えます

テスターで電流測定をする場合の「要注意」

電圧測定のように「並列」につないでしまうのは、危険です

並列に接続すると、最悪テスターが破損します

電流測定のあと、「うっかりそのまま電圧測定」といった事故で

意図せず「テスターが破損」する場合が多いです

電流測定が終わったら、すぐに

  • テスターからプローブを抜く
  • レンジをOFFにする(あるいは電圧測定レンジ)

といった習慣をつけるとBestですね

私の体験談ですが、

これはプロのエンジニア達でも、よくやってしまうミスです

運が良ければ、テスター内部のヒューズを交換することで済みますが

大電流の場合、ヒューズ溶断が間に合わず「回路が瞬殺」されるケースもあります

(というか、実験現場にそんなテスターが、何個も廃棄されて転がってました・・・)

※電圧レンジで電流を測定することもできます

組み上がってから、電流測定したい場合などによく使われる方法です

ハンダ付けして組んだあと、回路を切って測定するのは、現実的ではありません

そこで、測定箇所に抵抗を入れておいて、両端の電圧を測定すれば、オームの法則を使って電流を算出できます

電圧測定なら並列につなぐので、回路を切る必要がありません

(正確に測定するなら、抵抗は測定しておくか、誤差の小さな抵抗を使います)

あると便利なもの

ワニ口クリップの付いたコードなどを用意しておくと、電子工作などでは便利に使えます

純正品のアクセサリーとして、ワニ口クリップ付きのコードや、ワニ口アダプターを販売しているメーカーもあります

便利グッズ(ワニ口クリップ)

※高圧の測定などはできませんが、電子工作や実験、部品チェックでは問題ないと思います

便利グッズ(測定例)

まとめ

  • アナログテスターと、デジタルテスターがあります
  • マルチメーターは、テスターより多くの測定ができます
  • オートレンジのデジタルテスター(マルチメーター)が便利です
  • 電圧測定は、測定箇所と並列(両端)にテスターを当てます
  • 抵抗値の測定は、テスター棒をショートさせて0Ωを確認してから始めます
  • 電流測定は、測定回路と直列に(回路を切って)テスターを当てます
  • 電圧測定から電流を計算する方法もあります
  • ワニ口クリップ付きコードなどがあれば、便利です

※テスター破損防止のため、電流測定が終わったら、プローブを抜くことをお勧めします

どんなベテランや回路設計のプロでも、電気は測ってみないとわかりません

電子工作ではテスター(マルチメーター)は、必需品です

ぜひ揃えたいですね(安価なデジタルテスターでも、電子工作では十分使えます)